4年生になり、いよいよ卒業論文に取り組むことになりました。
選んだテーマは、仕事にもつながる「生成AIの生産性と組織における阻害要因」。
約3,000人へのアンケートも集まり、順調なスタートを切ったはずだったのですが……。
関 マサエ(当社IHS 代表取締役社長) 2026年10月14日
今年4月、私はついに4年生になりました。卒業まであと1年。
その前に待っているのが卒業論文です。さて、何を研究テーマにしようか。
卒論のテーマ選びは、思わぬ方向へ
最初は「ヨーロッパと日本のアクティブシニアの比較」を考えていました。
でも、ふと思いました。ただでさえクラスで一番年上です。
アクティブシニアをテーマにしたら、「研究対象はご本人ですか?」と思われそうな気がしました。
それはそれでよいとしても、すでに優れた研究が多いようにも思います。
そこで思いついたのが、自分の仕事にもつながる「生成AIの生産性と組織における阻害要因」です。
OECD(経済協力開発機構)の調査データがあり、日本との比較をすることにしたのです。
「AI」と「OECD」と「日本」。
他には研究事例がまだ見当たりませんでしたし、何よりもなんとなく知的なテーマに見えます。
このテーマに決めてやり始めたのですが、甘かったです。
AIを研究するはずが、一番働いているのは私
まず生成AIの利用状況や生産性への影響について、約3,000人のビジネスパーソンへのアンケートを実施。
存じ上げている企業の皆さまにご協力いただき、お陰様で回答が集まり、大喜び。
ところが、その後は集計→分析→また集計→また分析の繰り返し。
「AIに関する研究なのに、一番働いているのは私だ」
そんな状態に陥ってしまいました。
もちろん論文の構成はChatGPTに、分析はClaudeにといった具合に相談しながら、AIを研究する論文をAIと一緒に書いています。
ずいぶん楽できたはずですが、大変さというか疲労感は大きいです。
「その時代を生きてきたのは、私です」
そんなある日、ゼミで学生たちが話していました。
「AIがない時代の学生って大変だったはずよね」
「辞書とか英単語カードをめくって覚えてたらしいよ」
「紙の辞書?もう全然無理」
思わず心の中で手を挙げました。
「その時代を生きてきたのは、私です」
AIに教わって、大学の学びとつながる
ところで、AIと論文を書いていて発見がありました。
AIに何かを聞くと「理由は3つあります」という回答が多いですよね?
よく「AIは3つ並べて話す」と言われるゆえんです。
その理由をAIに聞いてみると、「3の法則(Rule of Three)」という古典的な話法を教えてくれました。
人は物事を「3つの理由」「御三家」「松竹梅」のように、3つにまとめることを好むそうです。
「あれ?これ、社会言語学で習った」
AIに教えてもらったことが、大学で学んだこととつながる。
その時、「知る」から「楽しむ」へ変わっていく感覚があります。
これこそ孔子のいう「知之者不如好之者、好之者不如楽之者」(物事をよく知っている人よりも、それが好きな人の方が優れており、それを心から楽しんでいる人には誰もかなわない)なのかもしれません。
卒論は人間とAIの共同作業です。
完成する頃、一番成長しているのは私でしょうか。
それとも、毎日付き合わされているAIでしょうか。
その答えは、実りの秋が終わる頃のお楽しみです。
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