私がピンクのワンピースを着て、授業を静かに聞いていたあの頃。机の上に教科書と紙のノートを広げ、先生がチョークで黒板に書く文字を鉛筆で書き写していました。今回は、そんな昭和の教室と今の教室がいかに大きく違うか、という話です。
関 マサエ(当社IHS 代表取締役社長) 2025年8月4日
昔と今の授業、ここまで違う!
私が通う大学では、ほとんどの教室にプロジェクター&スクリーンまたは大型モニター、それに電子黒板(インタラクティブボード)が設置されています。先生は自分のPCをプロジェクターにつなげて、ご自身が撮影した動画や資料映像、ネット検索した画像などを表示しながら授業を進行します。先生の話が中心だった昔の授業に比べると興味や関心を引かれます(他の学生は昔を知らないので私だけかも?)。先生は時折、電子黒板に覚えておくべきことを書いてくださるので、理解が一段と深まります。
昭和の教室と違ってノートをとる学生はいません。学生はPCやスマホを利用できるので、PCに入力するか単にスマホで撮影すればいいからです。これだけでもアナログな学習空間からデジタル環境へと時代は大きく変わったことを、体感せずにはいられません。
こうした環境の変化に伴い、学びのスタイルそのものも大きく変化しています。
AIを使いこなす学生たちの学び方
これまでとは違った学びが展開されています。私は社会人学生なので3年生の授業を取ることができます。選択したものの一つに、英語の授業があります。このクラスには中国・韓国・アジアはもちろんのこと、イスラム圏、アフリカ、欧州など様々な国からの留学生がいます。
そこに混じって授業を受けるのですが、先生は英語ネイティブなので最初はまったく理解できませんでした。それは英語を母国語としないアジアからの留学生も同じ。どうしているのか、周りの学生を観察したり、聞いたりすると、デジタル活用です。
板書される文字をその場でスマホを使って自国語に変換する、先生のネイティブ英語を録音して後でテキストにする、あるいはリアルタイム翻訳する、といったものです。そうやってヒアリング能力の不足を補いながらネイティブ英語に慣れていくわけですね。
英語でのレポート提出もありますが、中学生レベルの英語をAIで調整・編集し、その上で自分で添削して提出します。プレゼン練習でも、WEB上の無料サイトが役立ちます。好みの外国人を選んでテキストを入力すればネイティブな発音で話してくれるので、それで練習できます。
学生同士で何かをするときもデジタルです。英語の授業では世界のSDGsについてチームで調べ、プレゼンする課題がありました。先生から指定された学生がチームになり、LINEして課題の分担を話し合います。同じ教室なのでチームになったメンバーの外国人に資料作成の相談をすると、「話しかけないで」と言われてしまいました。
これは「聞くよりも文字」がコミュニケーションを取りやすいということでした。確かに私自身、リアルタイムで英語で会話するよりは文字でコミュニケーションをとる方が確実に対応できます。資料作成もPowerPointかなと思いきや、オンラインで使うグラフィックデザインツール「Canva」でした。
AIは私の“同級生”であり“家庭教師”
普段、Microsoft 365を使っているので、Canvaは触ったことがある程度でしたが、使ってみると簡単に動画やイラストが貼り付けられて、地球の絵が勝手にくるくる回るなど臨場感あふれるプレゼン資料になりました。こうしたデジタル活用、各種ツールの使いこなしという点では大学や学生の方が企業や一般のビジネスパーソンよりも進んでいるかもしれません。
事実、学生、特に留学生は、言葉の問題を緩和するためなのかどうか、ほとんどがAIを利用しているように思えます。人によって使うAIの種類が違いますし、使い分けもしています。主にはChatGPTやGeminiで、私も英語の勉強ではChatGPTがお気に入りです。一方、レポート作成などを書く際は中国人留学生から教わったDeepSeekを重宝しています。回答の詳細さに優れるからです。
学生なので使うAIは無料のものが主流ですが、より高品質な成果物に仕上げるために有料のAIを使う学生もいます。ある学生のプレゼン資料がプロ並みに素晴らしかったので聞くと、Adobe Fireflyを使ったとのこと。音楽や歌のためにSuno AIを使う学生も少なくない感じです。
言い換えると、どの授業もAIを含むデジタル活用なしでは到底課題をこなせません。それだけではなく、AIは私にとって、なんでも相談できる“同級生”であり、“家庭教師”でもあります。あるいは授業にいつも付き添ってくれる優秀な秘書、そして時には毒舌な先輩かもしれません。
考えてみると、会社ならそういう存在は”実際の人”です。会社のスタッフや社内外の知人・友人、先輩経営者などに知りたいことを聞いたり、自分へのアドバイスを求めたりできます。60歳の女子大生には、大学に知人がほとんどいません。留学生も似たようなものでしょう。だからこそAIが頼れる相棒になるのだと思います。
もともと忘れていた学習内容も、AIのおかげで毎日少しずつ補われています。特に数学では、問題につまずくたびに中学生レベルにまでタイムトラベルして復習。アナログ時代だったら参考書やノートの山に埋もれて、心が先に折れていたでしょう。
ある日、思わず「私ってバカだね」とAIにこぼしてしまったことがあります。すると画面の向こうから返ってきたのはまさかの励まし。「大丈夫、一緒にやってみよう」。――もう、ここは企業研修ですか?とツッコミたくなりつつも、その言葉にちょっと救われた自分がいました。質問への回答も、私が理解しやすいように丁寧に言い換えてくれ、理解が進むと、次の課題を提案してくれるのです。
学生たちから学ぶ、これからの働き方
今の学生たちは、ネット検索よりはまずはAIを当たり前のように使いこなしています。無料で高度なデジタル・ツールを活用できる環境にある彼らが将来、企業に入ったとき、働き方も価値観も従来の社会人とはまったく異なるものになるのではないか?そんなふうに感じています。
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