2021年05月
Power AutomateとPower Appsによる組織図の自動作成
社内業務の自動化を進める中で、作業工数は少ないながらも毎月定期的に実施している組織図の更新作業の自動化を実施いたしました。組織図の作成は、各部門内の配置変更、案件による配置変更と、毎月の変更箇所が多いため、人事部が各部門から情報を収集し、組織図に反映する等の対応を毎月行ってきました。
これまでも運用を見直し、各部門の責任者が直接情報を更新する等の運用も行いましたが、人事部の最終確認時に修正箇所が発覚し、修正対応を行うなど、組織全体の工数削減には至りませんでした。さらに、このような作業を担当者が1名で実施していたこともあり、作業の属人化は解消されませんでした。
そこで今回は、既存のフローを可視化し、問題点の分析、フローの見直し後、対象業務の自動化、他システムとの連携を行いました。これにより組織全体(主に人事部)の工数削減と業務の属人化解消を図りました。
概要
業種 | 情報サービス業 |
---|---|
目的 | 組織全体の工数を削減する。 入力内容を固定し、品質や精度を高める |
作業規模 | ・3名 ・総シナリオ数: 7フロー(Power Automate) |
作業ボリューム | 第一フェーズ/1人月 |
作業内容 | 既存フローの可視化 問題点分析 新フロー作成 データ連携検討 SharePoint DB(作成) Power Apps ユーザーインターフェイス作成 Power Automateシナリオ作成 シナリオ動作テスト テスト運用 リリース |
構成図
作業効果
1. 対応工数の削減
以下のように、全体で1人日が削減されました。
人事部の業務 | タスク | Before | After |
---|---|---|---|
○ | 情報収集 | 3H | 0H |
○ | 組織図確認/修正依頼 | 0.5H | 0H |
要員情報変更 (各部門管理者にて実施) | 1.5H | 0.5H | |
○ | 変更催促 | 1H | 0H |
○ | 変更情報/誤字/レイアウト修正 | 3H | 0H |
○ | PDF化 | 0.25H | 0H |
○ | 出力ファイル最終確認 | 0.25H | 0.25H |
○ | Web公開依頼 | 0.25H | 0.25H |
総計 | 9.75H | 1.0H |
2. プロセスの明確化
情報の流れを整理し、業務フローを明確にすることにより、いつ、どこで、誰が、何をすべきかが明確になりました。
また、作成した業務フローをもとにPower Automateでワークフローを作成する、入力規則の設定をするなどの設計もスムーズにできました。
3. 情報の一元化・精度/品質の向上
入力ミスや入力の手間を減らし、かつ、データ品質が保てるよう入力規則の設定や選択リストを活用しました。
例えば、選択リストに設定可能な項目や選択後に自動表示する項目の洗い出しや、入力すべき箇所を制限するなどを行いました。
対応工数の削減とプロセスの明確化 (改善された項目名)
<課題の詳細>
入力された情報の整合性をチェックする、また対応していない方への催促をする等、組織図を作成するという本来の作業以外に多くの時間を取られていました。
また、いつ、どこで、誰が、なにを行うかが人事部の担当者の頭の中にしかなかったため、属人化した業務となっていました。
<どのように改善したか>
- 現状の対応(As Is)を可視化
人事部の担当者に現在対応しているプロセスをヒアリングし、業務の流れをフロー図として作成しました。
また、インプット(情報)とアウトプット(情報)を明確にし、本プロセスで必要な要素を抽出しました。
これにより、"人"が作業している箇所、組織図作成に必要な情報と成果物が明確となりました。 - システム化可能な箇所の洗い出し(To Be作成)
上記1で作成したAs Isから、新たなプロセスを検討しました。不要なアクションを排除し、統合できるプロセスをデータ単位で精査、その後、システム化が可能な箇所の洗い出しを行い、本来あるべき姿(ToBe)を整理してフローの作成を行いました。 - システムによるワークフロー化
Power Automateにてワークフローを作成し、トリガー設定、データのインプット・アウトプット、転記、記入、メール送付等の作業を自動的に行う仕組みを作成しました。
<どんな効果があったか>
As Is To Beを把握し、業務のあるべき姿を明確にすることによりシステム化がスムーズに進み、不要なアクションを削除することもできました。
また、Power Automateのワークフローにより、スケジュールされたタイミングで自動的に処理が開始されるため、人事部の担当者が月次のタスクとしてスケジュールを気にする必要がなくなりました。
また、各部門の担当者が情報の更新を行っていなかった場合の催促もワークフローに組み込まれているため、人事部では最終のアウトプットを確認するのみとなりました。
情報の一元化・精度/品質の向上 (改善された項目名)
<課題の詳細>
これまではエクセルで管理しており、入力規則を設定していなかったため、各項目はすべて自由に入力する形式でした。そのため、修正する方法や人により、記載の粒度や値が異なり整合性をとる必要がありました。
また、色々なシステムに必要な情報が点在していたため、組織図を作成するにあたって確認しなければならない情報をすぐに確認することができませんでした。
<どのように改善したか>
組織図に必要な情報とそれに付随するすべての情報を洗い出しました。
また、Power Appsを利用し、入力するためのユーザーインターフェイスを作成、Share Pointリストによる台帳の作成と入力規則の設定をしました。
選択可能な箇所は、リストから選択させることを想定し、以下のように実施しました。
- 必要データの洗い出し
組織図作成に必要なデータ項目および、そのデータ項目に必要となる情報を精査しました。 - 開発
SharePointリストおよび、Power Apps、Power Automateにて入力規則と対象となる情報が自動的に入力されるよう設定をおこないました。
<どんな効果があったか>
入力は、必要最低限とし、選択リストを活用することにより、半角や全角が混在することなくなり、入力ミスもなくなりました。
また、各部門の担当者も入力負荷を軽減したことにより協力的になるなどの副次的な効果もありました。
更に、エクセルで行っていた際には、罫線を引き直すなどの体裁を整えるための修正も必要であったが、そのような作業も必要がなくなりました。
弊社利用による効果
自動処理による人事担当者の負荷軽減
これまで組織図を作成するにあたっては、月末の5営業日前に各部門担当者へ依頼メールを出す、入力がない場合には催促をする、といった対応をしていましたが、すべて自動化されたことにより、業務、および精神的な負荷が軽減されました。
また、各部門の担当者が入力した情報を確認し、整合性の確認や全角・半角、フォントサイズの統一、罫線を引き直す等の体裁を整える作業も必要でしたが、それらも自動化されたため、作業工数削減に繋がりました。
業務プロセスの見直し、入力負荷を軽減するシステムの構築
組織図の作成は月次にて必ず発生する業務だったので自動化を検討していましたが、担当者しか業務フローを把握しておらず属人化していたため、自動化するのが難しかったのですが、業務をヒアリングしフローを作成することによりプロセスが可視化され、本来のあるべき姿を考慮しつつ、人事部門、および各部門の業務負荷を軽減できるような、自動化の仕組みを構築することができました。
作業内容の詳細
設計
1. 基本設計
- プラットフォーム設計
- 可用性設計
- セキュリティ設計
- 仮想化設計
- 運用設計
環境構築
1. 統合認証機能
- Microsoft 365(Azure AD)
2.Microsoft 365
- Power Automate
- Power Apps
- SharePoint
- Microsoft Forms
- Exchange Online
環境移行対象
エクセル
納品ドキュメント
- Power Automateフロー
- 操作手順書
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