Copilotの実用性を探る技術検証レポートの後編。今回は、実際に使ってみて感じた使用感や、今後の活用に向けた課題と工夫、さらにはGraph APIや研修分野での展開可能性など、現場の声をもとに未来への展望を掘り下げます。
前編では、GitHub CopilotやMicrosoft Edge Copilotを使ったスクリプト再現・変換の検証結果をご紹介しました。
後編では、Copilotを実際に使ってみた技術者の感想や使用上の注意点、そして今後の展開可能性について、現場の視点を交えてお伝えします。Copilotをどのように業務へ取り入れるべきか、そのヒントが見えてきました。
4. Copilotの使用感
技術者からは、「このまま業務に活用できそう」という前向きな声が聞かれました。
ただし、Copilotが生成したコードが正しいかを自分で確認し、必要に応じて修正・デバッグするスキルは求められます。また、「ゼロからの開発よりも、既存コードの変換やリファクタリングの方が効果的」との見解もありました。これは、複雑な処理になるほどCopilotが前後の整合性を保ちきれないことが要因です。
5. 今後の活用に向けた可能性と工夫
多くの企業が利用しているExcelマクロやVBAスクリプトの一部は、Copilotを活用してPythonベースへ移行することも視野に入れられるようになってきました。
しかしながら、処理が複雑だったり、前後の処理や変数の使い回しが必要だったりがあるため、VBAで書かれたマクロを、Copilotでそのまま丸ごとPythonに変換するのは難しいのが現状です。
ただし、たとえば「ファイルを開く」「セルに値を入れる」といった一部分を取り出し、その処理だけをPythonで新しく作り直すような「パーツ単位での再構築」は十分に可能です。
また、Copilotを使えば、完全な完成品ではなくてもひな形となるコード(たたき台)を自動生成することができます。そうした提案をベースに開発を進めるという意味でも、Copilotは有効な支援ツールとなり得ます。
6. Copilotの強みと他ツールとの比較
GitHub Copilotは、構文エラーが少なく、コーディング支援に特化している点が大きな強みです。利用にはある程度のプログラミング知識が求められますが、社内教育や研修に組み込むことで、より効果的に活用できると考えています。
一方、Microsoft Edge上のCopilotは、多様な情報をもとに提案を行うため、正確性に欠けるケースも見受けられました。ただし、発想のヒントや思考の補助としては有効であり、学びのきっかけとして活用できる場面もあります。
7. 今後の展望
現在の検証進捗は約40%程度であり、今後はさらに具体的な業務シナリオを想定した検証を進めていく予定です。
現時点では、Copilotへの「指示の出し方(聞き方)」の工夫も大きなテーマの一つとなっています。曖昧な聞き方(ふわっとした指示)では期待する結果が得られにくく、意図を明確に伝える工夫が求められることが検証の中でわかってきました。
今後も、プロンプトの設計や入力方法の最適化を通じて、Copilotの出力精度を高めていく必要があると感じています。
こうした前提を踏まえつつ、以下の方向性で検証や活用をさらに広げていく予定です。
- Power Automate for desktopの活用可能性の検討
- PowerShellで作成したスクリプトをMicrosoft Graph APIに再構築できるかの検証
特に後者のMicrosoft Graph APIに関しては、Microsoftは従来のPowerShellモジュール(Exchange OnlineやAzure AD、MSOnline)など、複数の主要機能を段階的に廃止する計画もあり、既存のPowerShellスクリプトをPythonやPowerShell SDKを使用してGraph APIベースに変換・運用することで、より高速かつ柔軟なレスポンスが期待できます。これにより、システム全体の運用性や拡張性の向上が見込めると考えています。
さらに、Copilotを活用した新人研修向け教材や演習問題の自動生成についても、今後の活用アイデアの一つとして注目しています。
実際に社内の技術研修において、基礎的なコード生成や問題作成にCopilotを使うことで、教育コストの削減や指導の効率化が期待されます。
図 GitHub Copilot 画面ショット
おわりに
Copilotの技術検証を通じて、実用面での課題と可能性の両面が見えてきました。
今後も具体的な業務シーンを想定した検証を進め、お客様へのご提案や支援にしっかりと活かしていきます。Copilotの業務活用を検討されている方にとって、本レポートが参考になれば幸いです。
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