Microsoft Power BIでデータを“見える化”！
意思決定を支える社内データ有効活用のすすめ

Power BIは、社内のさまざまなデータを集約し、グラフやチャートで「見える化」することができるツールです。経営層や意思決定者が直面する課題の一つに「必要な情報にすぐアクセスできない」「データが複雑すぎて判断しにくい」というものがあります。Power BIは、このような問題を解決し、重要な情報を誰でも簡単に把握できるようにしてくれます。

具体的には、ダッシュボードの作成により、1つの画面に複数のデータを集約し、瞬時に全体の状況を把握することや、データをグラフ、チャートなどで視覚化し、多角的に分析することが可能です。
例えば、売上データやコストデータ、マーケティング活動の成果などをダッシュボードにまとめて表示し、全体像を一目で確認できるようにすることができます。これにより、経営層や担当者はデータに基づいた判断を迅速に行えるようになります。

また、リアルタイムでデータが更新されるため、刻々と変わるビジネスの状況を見逃すことがありません。重要なKPI（重要業績評価指標）に基づくアラート機能もあり、特定の条件を満たしたときには自動通知が送信され、状況の変化に即応できる点も魅力です。

図1. Power BIのイメージ

Power BIは、ただデータを「見る」ためのツールではありません。経営状況の評価や将来の見通しを立てるための「分析」を効率的に行うことができます。特に、「現状評価」「傾向分析」「将来予測」に強力なツールです。

Power BIではリアルタイムデータを使って、財務状況、営業活動、製造工程などをまとめて管理できるため、今の会社の状態を的確に把握できます。売上やコストの進捗状況がリアルタイムで表示され、異常な数値が見られた場合には即座に対策を打てます。例えば、売上データを商品カテゴリ別、地域別、月別などに細かく分類することで、予想以上に売上が低いカテゴリや季節ごとの売上変動が見えてきます。

次に、過去のデータをもとに傾向を把握します。Power BIはDAX（Data Analysis Expressions）という専用言語で数式や計算を行えるため、過去の売上パターンや経費の傾向を分析し、データに隠れたパターンを捉えます。例えば、季節によって売上が変動する場合、そのパターンを見つけることで、マーケティング戦略や予算や在庫、人員などの配分といった計画を事前に立てることが可能です。

さらに、Power BIにはAI機能が搭載されており、将来のトレンド予測も可能です。たとえば、AI機能を活用することで、ある商品がどのくらいの確率で売れるかを予測し、売上の見通しを立てることができます。このような予測データに基づく意思決定により、リスクを抑えた事業展開が実現します。

ほかにも、Power BIを導入することで企業全体にわたってメリットが享受されます。

経営層にとって、ビジネスの方向性を決める上でPower BIのリアルタイムデータは重要です。重要なデータがリアルタイムで視覚化され、複数の指標をダッシュボード上にまとめて確認できるため、今何が起きているのか、瞬時に把握しやすくなります。

IT部門にとって、Power BIはセキュリティ面やメンテナンスのしやすさからも利点があります。Microsoftのセキュリティ基準に沿ったデータ管理が可能で、権限設定によりアクセス権を制御できます。こうした管理機能により、企業全体のデータ管理が効率化します。

Power BIの操作性はシンプルで、専門知識がなくても使いやすい設計です。ユーザーはドラッグ＆ドロップで簡単にグラフを作成できるため、レポート作成の時間が大幅に短縮されます。社員一人ひとりが自らデータを分析し、洞察を得てアクションに繋げられるようになるのも大きな魅力です。

他のBIツールと比較すると、Microsoft Power BIはMicrosoft 365（旧Office 365）やAzureと緊密に統合されていることが最大の特徴です。ExcelやSharePoint、Teamsとシームレスに連携できるため、データのインポート・共有が簡単で、日常的にMicrosoft製品を活用する企業にとって利便性が高い点が魅力です。また、AzureやDynamics 365との統合により、クラウドデータや顧客情報も迅速に分析・活用できます。

Power BIは、Microsoft Copilotとの連携も可能で、データ分析の効率を一段と高めます。例えば、「今月の売上トレンドを教えて」といった質問を入力するだけで、CopilotがPower BI上で自動分析を行い、レポートやダッシュボードを提案してくれるため、手動の分析作業を省略でき、より短時間で質の高いインサイトが得られるようになります。これにより、データ専門知識がなくても、重要な指標を瞬時に確認できるようになります。

ここまでご紹介したように、Power BIは、企業のデータ活用を促進する強力なツールですが、導入を検討する際に抱く疑問や不安も多いと思います。多くの企業が最初に気にするのが、データのセキュリティです。「Power BIに保存したデータが本当に安全なのか？」という心配は当然です。
しかし、Power BIはMicrosoftのセキュリティ基準に従っており、データの暗号化やアクセス制御が可能です。必要な人だけがデータにアクセスできるように設定できるため、プライバシーの保護も強化できます。また、データのマスキングや匿名化を行うことで、さらなるセキュリティ対策を講じることができます。

「Power BIの導入や運用にはどのくらいのコストがかかるのか？」という疑問も無視できません。Power BIには無償版と有償版（Pro、Premium）があり、企業のニーズに応じたプランを選ぶことができます。まずは無償版を試し、有償版への移行を検討するのも良い方法です。有償版の機能について十分に調査し、必要な機能だけを選ぶことで、無駄なコストを避けることができます。

Microsoft Power BIは、膨大なデータを「見える化」することで、企業の意思決定を支える強力なツールです。売上の動向、コストの進捗、在庫の変動など、あらゆるデータが「見える化」され、経営層から現場までの全員が迅速に情報を把握できるようになります。データの現状評価、傾向分析、そして未来の予測に至るまで、AIによる将来予測まで活用できるPower BIを活用することでビジネスの成長を加速させることができるでしょう。

Microsoft Power BIのより詳細な使い方や導入方法など、さまざまな情報を知りたい方は、IIMヒューマン・ソリューションにご相談ください。