■ 業務自動化のすすめ/RPA推進の秘訣 ■
● シナリオ設計のコツ
自動化活動の流れでは前半にプロセス設計やその改善などを行いますが、その後いよいよ対象のロボット作成に入ります。
WinActorでは「設計してから組み立てる」ことがお勧めで効果的です。シナリオ設計では、処理の流れや部品を選定して全体の構成を考えていきます。
各社それぞれの方法で行われていると思いますが、ここでは弊社の設計標準やノウハウなどを一例としてご紹介します。
● シナリオは設計してから組み立てる
シナリオ(ロボット)の仕様を頭の中で考えるだけでなく見える化(文書化)することは、開発において効率的で意味があります。
「無駄な時間を省く」
弊社でWinActorの取り扱いを始めた頃は、まだルールや手法もなく、まずWinActorを起動し、画面上で処理の最初から少しずつ部品を試しながら組み立てていくことがありました。実際に自分でやってみると試行錯誤の連続で、行ったり戻ったりが多く時間もかかったように思います。
特にまだ慣れないうちは、無駄を省き生産性を上げるためにも、まず設計してからWinActor上で設計に沿って組み立てていくことをお勧めします。弊社では設計は文書化(Excelで仕様書を作成)することにしています。文書だと内容全体を見易く、修正も簡単なので効率的です。
「仕様をレビューする」
可能であれば文書化した設計書(仕様書)を他の人にレビューしてもらうことをお勧めします。
WinActorは分かり易い製品でIT経験が少なくてもロボットが作れますが、人により作り方は様々になります。WinActor開発が分かる他の人が違う視点で見ると、いろいろ気づくことが出てきます。
お互いにノウハウが共有でき、開発効率も上がりますし、ロボットの作り方が一定の形で揃いメンテナンスの効率も上がりますので、そのためにも仕様の見える化(文書化)は意味があります。
● シナリオ設計方法の一例
以下に弊社が標準化として行っているシナリオの仕様書例をご紹介します。
Excelでフォームを用意して、そこにフリースタイルで書き込めるようにしています。
「全体構成」
ロボットの大まかな全体構成を決めます。
- 初期処理・・・最初に行っておくデータ設定や準備処理など
- メイン処理・・・対象になる業務処理
- 終了処理・・・最後に行うファイル保存や閉じる処理、メール送信など
更にエラーハンドリングとして全体を「例外処理」でくくり、「異常系」へエラー時の処理を書きます。
これらの各構成部分は「サブルーチン」として詳細な仕様を書いていきます。
次回はこれらを「ひな型」例として別途ご説明する予定です。
「変数」
WinActorでは変数を多用しますので、場合によっては数がかなり多くなります。
予めどういう分類のもので、どんな名称や用途、初期値にするかを書き出しておきます。これらも予め文書上で行うと、修正や追加、削除が容易で効率が良いでしょう。
「メイン処理」
いわゆる対象になる固有の業務処理が入ります。業務によってやるべきことが様々なため簡単にまとめてしまうことは難しいですが、一般的に以下のような処理をどのように書き出しているかをご説明します。
- 繰り返し処理
ある箇所から別の箇所までの範囲で繰り返すことを表すため、弊社のExcelフォームでは文章をインデントし、場合によっては範囲に印(線や色付けなど)を付けてここからここまで繰り返し、と分かるように書いています。(下図参照)
繰り返しは「繰り返し終了」が必須のため、どういう条件(判断)で終了するのか漏れなく書くことに注意します。 - 分岐処理
分岐は「条件」が必須のため、それを明記します。机上にて、正しい条件(判断)を決めることに注意します。 - 転記処理
データの転記は何をどこへ入れるかということで簡単ですが、変数へ格納することも多いので、前述の「変数」設定と合わせて記述します。 上記は一部抜粋ですが、これらをExcelフォームへ書いています。(下図参照) 補足ですが、シナリオの設計には使いたいノードやライブラリの機能を知っておく必要があります。慣れないうちは設計時にWinActorを起動し、時間をかけて設定方法や動きを確認する、あるいはマニュアル類で確認をします。
ただ、設計時点で時間がかかっても、次にWinActorで実際に組み立てる時間はより早く、効率的になります。
またせっかく調べたノードやライブラリの名称も仕様記述の右側へ入れています。今回は設計に関連して主な点のみ抜粋しましたが、次回はシナリオ全体の「ひな型」についてご説明します。
図:シナリオ仕様書例(一部抜粋)