■ 業務自動化のすすめ/RPA推進の秘訣 ■
● RPA自動化の対象業務とは
WinActorで自動化する前には「対象業務」を選定する必要があります。現在手作業でやっていることを何でもロボットにする、というわけではありません。
- ロボットにするとどれくらいの効果があるのか
- ロボットを作るのにどれくらいの負荷(コスト)がかかるのか
- 現状の作業手順や作業内容自体を見直す必要はないか
対象業務が1件だけでなく、複数または多数の業務候補がある場合は全て洗い出します。各々洗い出した業務について基本的な情報を把握し、上記のようなポイントでそれぞれ評価し、自動化可否や優先度を判断するという流れになります。
● 自動化対象業務の洗い出し
洗い出した対象業務の基本的な情報を把握する際、例として以下のような項目があります。これらの収集情報に基づき、次に評価や判断を行います。
<基本情報>
- 業務名
- 業務担当者名/責任者名
- 作業時間(分/回、時間/月)
- 作業頻度(回/月)
- 業務全体時間(対象作業を含めた当該業務全体)
- 作業ミス/エラー頻度(回/月)
- 作業内容変更予定有無(短期間での内容変更、切り替え等の予定)
- 入出力数(使用している画面やファイル数、種類)
- 使用システム(ウェブや社内システム、アプリなど)
- 使用データ種類(紙や手書きデータの有無)
- 使用データ量(入出力データ量、規模)
- 作業パターン(メインとなる作業種類、分類、特徴など)
- 作業定型化状況(随時変更の有無、変則的か、非定型か)
- 作業手順明文化(手順書の類があるか)
● 自動化候補の評価と判断
前述の各情報に基づき「対象」の評価や判断を行います。
単純に考えると以下のケースがベストでしょう。
「効果が大きい×開発難易度が低い」
ただし社内の基準や状況、背景など、それ以外の要因が優先度や評価に影響する場合もあるでしょう。(以下、例)
- 時間削減効果は小さいが、人手によるミス、エラーが無くなる
- 開発難易度は高いが、自動化による効果がかなり大きい (例)
- 作業時間削減効果が非常に大きい
- 関係するユーザー数などが多く効果を受ける範囲や量が大きい
- 最初のシナリオができれば加工して複数に転用できる、など
更に評価や判断のポイントを例として挙げておきます。
<効果に関するもの>
- 削減時間は社内の時間単価を使って金額に換算すると分かり易い
(後述の難易度評価もコスト換算すれば比較ができる) - 効果の集計がWinActorに係る費用を回収できる、上回ることも目標に
- ミスやエラーが多い、またはリスクが大きい作業は基本的にゼロとなるので効果が大きく、またその検証作業(人数)削減効果もある
- 自動化により対象作業部分だけでなく、それを含む業務全体の見直しや 改良などの可能性があり、業務プロセス改善へ繋がる場合もある
- 開発後のシナリオ運用、維持管理のコストも考えておく
- 結果的に難易度は開発コストにつながるので明確に
- ロボットの処理概要を把握し想定コストを割り出す
(弊社では処理概要からノード数や種類を割り出し、設計から開発、テスト、文書化にいたる負荷を決めて総工数/コストを試算していますが、WinActor開発の経験値が必要です) - WinActorがアクセスできる(認識できる)システムやアプリかを確認
- 処理が複雑なシナリオは運用における維持管理の負荷(コスト)も考えておく(処理判断や工程が多いとシナリオ規模が大きくなり、メンテナンスやインシデント対応の負荷が大きくなる)
- まれに発生する例外的な処理は無理に組み込むより、手作業で行うことも考慮すれば開発の難易度を下げられる
- 処理の順序や内容を、開発がより容易に、或いは簡略化できるよう変更可能か確認
(特に入力系データやファイルの扱い部分など改善余地の可能性あり)
● 判断における注意点など
前述のように効果と難易度で判断する前に、そもそも社内の自動化ルールに適しているかどうかがあります。
既に会社毎にルール化がなされて管理されていると思いますが、業務担当者も開発担当者も事前に注意が必要です。
<禁止ルールや注意点の例>
- 金銭操作(出金、注文など)に直接つながる作業の自動化
- 人が判断すべき承認、捺印作業の自動化
- 顧客など外部の人向けに重要なデータや情報提供する作業の自動化
- セキュリティ管理や同データをそのまま扱う作業の自動化
これらに注意し自動化においては、随時モニターできる、処理中のデータやログ、メールを出力する、或いは自動と手動の組み合わせで間に人が入る、セキュリティ対策(暗号化やID管理など)をするなど、ロボットの作り方を十分検討し工夫することをお勧めします。